半人前な科学者
実験が大好きな科学者のエフ氏は、大半の時間を実験に費やし、自分の仕事に明け暮れていた事で婚期を逃してしまった。
結婚について彼は特別なにも感じていなかったが、親の事を思うと少々頭の痛い問題であった。
アール氏の親は「死ぬ前に孫の顔がみてみたい。」だとか「結婚してこそ一人前だ。」と顔を合わせる度に結婚についてアール氏に言うのだった。
それでも、アール氏は世の中が晩婚化してる背景とを説明し言い訳してきたし、仕事が忙しいと言ってなんとか毎回切り抜けてきた。
ところが、母親が大病を患いすっかり痩せてしまったのを見て、アール氏は重い腰を上げることにした。
アール氏は、かねてから実験していたタイムマシンを完成させ、未来へ行くことにした。
未来に行き奥さんがいれば、今相手を探す手間が省ける。そう思い、アール氏は未来へと出掛けていった。
しばらくして、帰ってきたアール氏は申し訳なさそうに母親に謝った。
「鬼に飼われるくらいなら半人前でいい。」